今さら 日イのはてな

「ジャカルタ新旧あれこれ」の合間に

クリーン・グリーン・グレー・ブルーな水素の夢

日本のカーボン・ニュートラルの事を学んで見ようと思った最初の頃、カーボーン排出量の元凶は、その半分近くを排出する発電部門であることとその発電量は今10,000億kWhであるが、2050年にもなると更なる人口減、高齢化、省電などで5,000億kWh程度になるとの数字に出会った時、何か間違いかなとか、それなら脱炭素も易しいことだと感じたことだった。そしてその中で100%クリーンな水素発電がある事を知って、運輸部門のEVによる発電増量の問題の話も聞かないので、日本の技術力なら問題なくこの水素やアンモニアの新電源も可能なはずだと運輸部門はEVを通り越してFCVを結論としてしまったが、政府がちゃんと計画しているのかを当たるうちに又戻って考えねばならぬような感じを持っている。
昨日2030年の電源構成計画で、この水素発電が構成比1%しかないことは判ってはいたのであるが、2050年はどうなっているか見ると、まず2020年12月に公表した「グリーン成長戦略」では、2050年の 電源割合を、「参考値」として、 再エネ 5~6割 原発+CCS火力 3~4割 、そして水素・アンモニア 1割 としていたが、最終版からはこの水素の字は消えており、この問題は、可成りな問題を含んでいるよう見受けられた。

因みにと九州電力のゼロへのロードマップででも何か確認できるかなと見て見ると、混焼の文字(水素の利用)とかは見えるが水素・アンモオニアの製造については、水素アンモニアサプライチェーンの構築と共に検討事項となっているだけである。
なぜ小生が九州電力を見たかを説明すると、九電はCN貢献企業評価(WWF)で電力業界トップであるからである。ここでも水素の製造であり、水素による発電とは書いてない。

推理していくと九電が発電すれば、ケーブルで送電供給できるが、製造とだけ書いても、それは例えば液体ガスとしてタンクバルブ車での供給販売で、発電ではないことになる。

化石燃料のエネルギー消費は発電だけでなく航空機・船舶などの燃料・工場の自家発電や熱利用に使われるのであるから、この水素にしろ再生エネルギーの製造は電力会社だけの問題ではなく、全国民であり、全ての企業が、誰でも関わって行くべきものである。

しからば水素やアンモニアの製造の仕組みを簡単に学んで見よう。
水素の元素はH2である通り水H2Oから取り出せるが、その工程が水電解である。この電解の時に電力が必要だがこの電力に太陽光発電等再生エネルギーを使用すれば100%クリーンとなり、これをグリーン水素といっている。化石燃料から水素を取り出すことも出来、この方法は昔からあり、それは化石燃料を燃焼させたガスから水素を取り出す改質法といわれ、メタンガスなどを改質して水素をつくる方法(水蒸気改質法)は確立されているが、大規模化が必要で、脱炭素も完全でないため、グレー水素と言われる。炭素の低い天然ガスを利用したり、発生した炭酸ガスを地中に貯流する場合の水素はブルー水素と言われる範疇となる。

日本は大規模に生産するための装置の製造技術の問題、商業生産に合うコスト低減ができるか、或いは炭酸ガスの貯流する(CCUS)場所の問題があり、結局、外国からの輸入が政府の検討資料に現れていて、今後文字だけで安心することなく見守って行かねばならないと心を引き締めた。
自動車のFCVはこうして作られた水素を蓄電したのが燃料電池(e-fuel)であり、ガソリンと同じように消費すれば水素ステーションで水素を補充することになる。自動車業界の水素へのチャレンジを期待したい。
水素は又Co2 と合成して製造する合成燃料の道もあり、航空機など高度な燃料にも利用できるが、このようにCO2を資源として利用する「カーボンリサイクル」は将に夢となる。
又、アンモニアはその分子式は「NH3」で、水素と窒素で構成されて、大量輸送が難しい水素を、輸送技術の確立しているアンモニアのかたちに変換して輸送するキャリアーの役目や、石炭火力発電に混ぜて燃やす(混焼)ことでも、CO2の排出量を抑えたり、将来的には、アンモニアだけで発電する技術開発が進められているそうだ。簡単ではなさそうだが侍ジャパンを信じていいのか。ミレニアム・Z世代同士の戦いになる。

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