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「ジャカルタ新旧あれこれ」の合間に

ロッテ石化コンビナートと日本のゼロカーボン対策

韓国のインドネシアにおける、現代自動車・LGバッテリー・ロッテ化学の3大プロジェクトからカーボンを考えるシリーズの最後はロッテ化学である。プロジェクトは今年初めに発表されたチレゴンのエチレン等石化プラントの39億ドルである。2025年完工予定でエチレンが100万トン、プロピレン52万トンを生産するが、これらは合成樹脂や繊維、フィルムなどの製造に不可欠な物質であり、プラントには、インドネシア国内初となる、ナフサ分解施設も併設するという。
ロッテはこれが初めてではなくここチレゴンにはマレーシア企業買収したロッテケミカル・タイタン・ヌサンタラが運営する、ポリエチレン製造プラントがあるので両者合わすと大規模な石油化学コンビナートになるかも知れない。

このニュースの39億ドルというのはこのプラントの生産とか製品の価額ではなく請負建設(EPC)総額で、この場合それは又韓国のロッテ建設および現代エンジが行うと言う。
従いこの案件に関してゼロカーボン対策は石油化学産業とプラント建設産業の2面から見ることになろうか。
少し視点を外すと先に一人当たりのGHG排出量でカタールがダントツのトップで、それは大規模石化プラントの所為だと片付けていたが、それもあろうがむしろ砂漠を緑の大都会に変えている、そのエネルギーの贅沢消費の所為で、それは大産油国で人口の少ないサウジやUAE (Dubai) やカタール(Doha)共通である。

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ここで関連するニュースは日本の千代田化工カタールで世界トップクラスの1兆数千億円規模のLNGプラントのEPCを受注したと言うものがあった。
EPC業界は化石燃料を燃焼し炭素を排出する業界ではなく一般の建設業界の方途と足並みを揃えばいいだけである。むしろ上記LNGプラント建設でLNG業界の為の二酸化炭素を回収・貯留(CCUS)する設備も設置すると言う脱炭素化に貢献する側に立てるものである。

その証ともなる、千代田化工インドネシアでプルタミナと脱炭素の技術開発協定を締結しここでも脱炭素化を推進している。
むしろロッテケミカルの操業においてはナフサを高温で分解し、製品製造工程で大量の二酸化炭素を排出する業種であるのでこの脱炭素化をどうするのかが問題である。
ここでは個別に迫ることが出来ないので、日本の石油連盟の脱炭素化へのビジョンを引用しておこう。
「石油業界は、サプライチェーンや製品の脱炭素化の取り組みの加速化や、既存インフラが活用できる革新的 な脱炭素技術(①CO2フリー水素、②合成燃料、③CCS・CCU(カーボンリサイクル)など)の研究開発と社会 実装に積極的にチャレンジすることで、事業活動に伴うCO2排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す とともに、供給する製品の低炭素化等を通じて、社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献します」とある。脱炭素への技術的方策が現実にあり、それが明らかにされ、個別に取り組んでいるだろうことが確認できればこのシリーズの目的は達する。
ロッテの石化コンビナートの位置付け、インドネシア石化産業のあらましと評価、石化産業の排出量と個別対策まではここで完述は出来ない。
その面、自動車産業は論述が簡単であったなぁ。
千代田化工は中東やインドネシアで強く1965年来の幾つかのサウジの製油所、76年アブダビLNG、1981年来のインドネシア アルン(写真)やボンタンLNG、1993年来のいくつものカタールLNG或いは2003年サハリン2LNGなどが有名である。