ネットライフは毎日無尽蔵に新たな発見がある。先般来からは日本の戦前戦後の映画につい、感心してしまっている。昔一時じっくり読んで見たいものと思っていた長谷川伸作品シリーズ、沓掛にも会えて感慨深いが、一度朗読に浸った事のある浅田次郎の鉄道員の映画版にはメロメロとなる別世界か、別時代に彷徨したが、昨日はBengawan Soloである。
池部良、森繁、伊藤雄之助の3人の脱走兵を匿う内、恋心抑えられない現地娘の久慈あさみと奔放はつらつたる妹若山セツコの好演、最後は荷馬車を駆って池部を逃がすが、捜索隊に追われるシーンは将に駅馬車風、最後は吊橋に突っ込み千尋の谷に落下するその日は日本敗戦受託の日であった。
男の約束で遺児母子を守り白刃に斃れる時次郎、家族を失っていった老齢の鉄道マンは廃線と共に家族の迎えに静かに召される、なんと3本とも儚くとも美しく生きた男であった。
ブンガワンソロと言うグサンの歌曲は戦後大ヒットしたことは聞いていたが映画になっていたとは初めて知った(新東宝ではないと思うが。。)映画は市川崑作品、昭和26年作品、未だインドネシアとの合作もかなわぬ時代だったか、現地人全てが日本の俳優で作られたが、ちゃんとインドネシア語が8割を維持しつつ、また矜持を持ってつつましい日本軍人たちの現地に向かっての姿勢に何やらほっとする、現代こそ今一度日本人が見るべき作品であった。