今さら 日イのはてな

「ジャカルタ新旧あれこれ」の合間に

国の発電力と我が家の電気料金までの単位 学習

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PLN Peluit

地球温暖化のためのカーボンニュートラルに進む世の中、太陽光や風力発電など発電のニュースが出てくるので少し電力関係の単位感覚を養わねばならない。

先ずは発電所などの発電容量であるがこれは通常、万kWやMWで表示されることとなるが、例えばインドネシアの国全体の容量はは5466万kWである。ニュースでは発電所単位でチカラン火力発電所150MW とか、或いは一昔ならIPP 10,000MW計画とか35GW計画があった。日本ならさしずめ福島原子力発電所 46万kWがあった。

ここで ワットWの前の記号はメートル法の基本単位の倍数でkは103倍 (1000倍)、Mはメガ10⁶(百万)、Gはギガ10⁹(10億)、あとTテラ、Pペタと続くものである。

35GW計画などを経て現在54GW(2016年)になったもので、日本の25000万kWhと肉薄するようになったものであろう。25,000万KWは250,000,000,000W=250,000,000kW=250,000MW(25,000万kW)=250GWである。

この発電所の発電設備容量の万kWなどの意味は、端的に言えば、瞬時に起こすことが出来る最大電力であり、その電力を使用する量となると、時間の要素を入れた単位でkWhとなる。瞬間では単位にならないから、1時間発電・消費続ける力・量だとして、それを1年間で表示したのが電力需要(電力量)で通常、(億)kWhである。

インドネシアの設備容量は5,466万kWであるので0.5466億kW x 24時間 x 365日=4,788億kWhとなるが、発電の為の電力や熱効率、稼働率(休止中や)等もあり実際の供給2,486億kWhまで落ちることになる。この比率が設備利用率であり、設備の種類により幅がある。

日本の一般書では、石炭は高く68%程だが石油は9%、その他太陽光・風力で10~20%とされているので、国全体の率は電源構成により異なろうが、ここでは50%である。日本もこの電力量は9,896kWh(2013年)であるのでやはり相当な比率となる。

国全体の電力需要の一人当たりを出してみるとイメージしやすくなる

日本の数値を計算チェックしてみると9,896億kWh/1.2億人=8247kWh 

これを国際比較の単位のMWhに換算するとメガはキロの1,000倍であるのでメガに直すと8.25MWh、同様インドネシアは2,486/2.6億人= =0.95MWhとなる。

日本の8.25MWhは8,250kWhであるが、一般家庭の年間使用料は4,322kWhらしい。それなら平均2人が所帯人数とすると、家庭用は全発電の25%程度と推定される。そして日本の平均電気料金は27円らしいので月額を出すと 4,322/12*27=9,724円となった。 先月の私の家の料金は2万円を超えていた。 節約しなければと思った。

追補:ここで単位で頭が混乱して何度も確かめたり時間を浪費したがその原因は日本の万とか億にある事に気が付いた。昔、住宅不動産のチラシの万円にかみついたことがあったことを思い出した。

インドネシアの数字は日進月歩と変わっており、発電キャパは54GWがすでに71GW迄伸びている。(RUKN2016年の10年計画では76.3が目標であった。後別途アップデート予定。 

3月度イ国投資環境トピックス :


迫る気候変動対策2030に向けて:薄い日系の影
3/1 IKD(インコンプリート・ノックダウン)の EV 輸入関税免除へ。 
3/10 バリト・パシフィック、イで地熱発電事業の星スター・エナジー買収。 
3/15 丸紅と日本製紙、丸紅のスマトラにおける植林事業で提携。 
3/16 現代自、GIIC で年産能力 15 万台が正式稼働、EV 生産もスタート。 
3/16 PLN、バンテンで風力発電事所(200MW)建設へ、仏開発庁と協力で。 
3/16 プルタミナ、ププック・クジャンら、触媒工場着工、年産能力 800 トン 
3/17 ミツビシクラマ・ユダ、電動車を蓄電システムとしても活用へ、本社で試行開始。 
3/17 2030 年までの CO²削減目標の達成には 3,460 兆ルピア要と財務相 
3/23 バクリー系ベクトル・モビリティ、英ボルトとEVバッテリーのギガファクMoU。
3/25 ジョコ大統領、ヌサドゥア超急速充電ステーションSPKLUの稼働を宣言。
3/28 PLN、EVの家庭充電に夜間割引約24%。
3/29 カラ・グループ、南スラでニッケル精錬所建設中、10兆ルピア、2023年の稼働
3/29 インディカ・エネルギー、EV二輪の製造販売会社設立。
3/29 星エアカーボン、イのカーボンXと温室効果ガス排出権取引所の設立で合意。
2/22 ゴジェック系エレクトラム、台湾のゴゴロらと共同で電動バイク生産へ。 

海洋国家と地方へ
3/6 海洋政策行動計画、海事大国に向けて公布▽海洋資源管理と人材育成▽海上防衛・ 安全保障・法執行▽海洋ガバナンスと制度▽海洋経済と インフラ、福祉の改善▽海洋空間管理と海洋環境保護▽ 海洋文化▽海事外交――の7本柱からなる。
3/7 海洋防衛・安全についてのオムニバス法策定中と政治法務治安調整相。 
3/14 新首都予定地で地鎮祭、全国の州知事に持ち寄らせた各地の土と水を一つに
3/16 ジョコウィが習近平中国国家主席と電話会談、新首都事業への参加呼びかけ。 
3/18 新設マンダリカ・サーキット場MotoGP 2022 開幕、20 日まで。 
3/18 新首都移転、アジア開銀が支援へ。ソフトバンクは投資見送り撤退。 

記録のみ
3/1 トランス・リテール、ブカラパックとオンライン『AlloFresh』オープン。 
3/1 イクヨ現法、GIIC で工場建設へ、投資約 16 億円、2023 年 10 月の量産目指す。 
3/15 GoTo、新規株式公開へ、最大 17.992 兆ルピア調達計画。 
3/17 JCB インターナショナル、ダナモン銀とクレカ発行へ。 
3/18 サントモ、マカッサルでの電動二輪『スム―ト』貸与でゴジェックとMoU。 
3/21 サリナデパート、改装終えオープン、中小事業コミュニティモール目指す。 
3/11 保健・教育サービスの VAT課税に、経営者協会らが購買意欲の減退懸念。 
3/20 プンチャックに懸垂式列車敷設計画、運輸省首都圏交通管理庁が事業化調査。 
3/20 バドミントンの全英オープンの男子ダブルスでイが優勝、2 位もイ 
3/22 三菱地所、星不動産と共同でカラワンにてアウトレット建設へ、2023年後半完工
3/24 三菱商事(ダイヤモンド)、南JAK『KIZOレジデンス』参画へ。46階建、1.2兆
3/22 イ総合株価指数7千ポイント突破。
3/25 日本工営、ジャクリンコへの首都圏交通移動データの解析協力すると発表。
3/29リアウ・アンダラン、板紙工場の着工。33 兆
2/21 関西電力出資先のチ水力発電の再エネ証書「I-REC」をアイシンに販売へ
2/22 ヒルトン、2022 年後半にバリ・ウルワトゥで LXR ホテルズ&リゾーツ開業へ。 
2/23 ガルーダ・マタラム、VWSUV『T クロス』発表、990cc、4.9 億ルピア。 
2/24 シャープ、KIIC でエアコン工場建設へ、太陽光発電30%
2/25 ワクワクジャパン、3 月末までで放送終了。 
2/28 シナールマス傘下ディアン・スワスタティカ、電子決済ダナに 2 億ドル出資へ。 
2/21 土地の売買、自動車登録証(STNK)や運転免許証(SIM)、無犯罪証明の手続きに
国家健康保障の加入義務:大統領指示。 
2/22 国家失業補償スタート。 

 

追記4/12:大きなニュースを漏らしていた。薄い日本の影も取り消そう。

3/09 三菱商事、プルタミナ・ププック等とグリーン水素・アンモニアで協力覚書

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Sari Pan オア Sari Paci

 

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NasDemの Palohの Indonesia Satu Towerの上層部分にPan Pacific Hotelが入る話は、むかし掴んだが真偽は不明である。それでジャカルタに昔から或るSari Pan Hotelを思い出したが、正しい名前はどうなのか混乱がして昔の小生のホテルリストで確認すると、SariPanと読んでいたのかSari Pan Pacific Hotelである。

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今はメールにラマダンのプロモのカードが来ていた通りSari PacifitとPan が抜けている。
しからばIndonesia 1が呼んでいるPan Pacificと言えばシンガポールにあるPan Pacific Singaporeの系列であるのだろうか。
そちらの話よりSariPaciとなったSari Panは私に取っては、1980年来のジャカルタで1番縁があったホテルである。 ホテルは1976年に東急とサリーナやJaya Obayashiなどが関わるSarini Tokyuがオープンしたもので500室(450室、スイーツなどの変更で418室とも)もある大型ビジネスホテルであった。日本レストランのケヤキも一番使った宴会の店だっただろうし、Pitstopと言うClub Barもよく使ったものだ。
東急から出向の日本人の友もいたので、今確認すると、この頃Pan Pacific Hotel Chainは東急ホテル保有しており、このオープニングにはハメンクブオノIX副大統領がテープカットしたりサデキン夫人の植樹などもあり、しっかりした日イの時代を目前にジャカルタが一段華やいだ時代であった。
その後はジャカルタのホテル界はヒルトンからグランドハイヤット、リッツカールトンと高級化が進んでいった。ケヤキのママはその後自分の店の佐渡だったか開いてそちらに流れたこともある。多分東急がPan Pacific Brandをやめてから、このホテルもそのチェインから独立し2018年Sari Pacificと改称することになったようだ。 

Pan Pacific自体は2007年にUOLが買収したようでPan Pacific Singapore やPark Royalを持っているかも知れないが、意外な展開が待っているかも知れない。 少なくともSari PaciはSari Paciとして行きており、隣の空き地に同名の名前がちらつくのが気になっている。

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追:今日Google Mapでは隣の空き地はThamrin 10となっている。そういえば、隣のSkyline BldgがThamrin 9だった。

そして

Grand Indonesia の横に建ったThamrin 9についてのブログでは既に以下の様に記していた。
Thamrin 9 Tower 1は75階(72とも)、383メートル、ヒルトン系のWaldorf Astoria Jakartaが上層部に入居する。本年3月に棟上げ式を挙行、ホテルは183室で2023年本式営業開始
Tower 2にもService Apartのほか、5星のPan Pacific Hotelや4星のPark Royal Hotel Suiteがある。高さ300メートルでイ国第3位か、、、


従い冒頭のIndonesia Satuのホテルは振り出しに戻そう。

 

Nasdemのパローのインドネシア1

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国民民主党のNasdem Towerを見つけ他の話題のュースを待っていたら、グドゥング・インドネシア1と日本の阪急阪神不動産との協定の話が出て来た。この建物については昨年6月に日本大使館を両足でつかみ取るガルーダ(イーグル)の図だと揶揄したブログ「ジャカルタ日本大使館を囲む高層群」を書いたが、今日は鳩か、隼が両翼を拡げ抱いている図である。

親日のプラザ・インドネシア社と協力関係にある日本の阪急阪神がこのGedungの保有者のPalohとも協力協定を結んだというものだ。このtwineビルの低層のpodiumはEntertainmentとShoppingの商業棟で、出店、デザイン、催事企画などを通して日本文化を醸し出すという事で日本大使もその式典に駆け付けお祝いを述べている。前回、このビルを紹介した時は、このビル企画は中国企業とPalohの合弁であったが、その後の情報ではPalohが持ち分全てを取ったようだ。またその頃、Palohには債務訴追事件があったがその後は債務返済で片付けている。
他にはPan Pacific HotelがNorth Towerの47-58階に入る話を書いたが、今回再度当たったがこれを確認するものはない。
ビルの階数と高さは65階と60階の両方303メートル、今回の報道では63階306mと57階303.5mとなっている。他にも、回数と高さが区々と違う表記があるし、なによりもあれから1年経っているのに、添えられた写真は未だ建設途上である。
前回添えたのは完成予想図だったのだろうか。間違い探しをして見よう。

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一次エネルギー・電力・再生エネルギーの消費フロー

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独逸2019 日本2020


この脱炭素のシリーズでは、日本のGHGの排出量の部門別考察から、その対策を見て、前々回から発電部門の考察に入ったが、ここでは電源構成比率を示し、水素エネルギーの1%と言う低率に戸惑い、少し戻って考えることがある気がしたのはGHG排出量とエネルギーの供給量の出口・入口の関係比率である。
まず現状のCo2 排出量のもととなるCo2起源エネルギー消費を見て見ると排出量の単位のトンから、エネルギー供給は原油換算リットル(KL)や石油換算トン (toe)或いは熱量単位であるジュール(J)となっているがこれらの関連を学んで見よう。
ここでまず、エネルギーには加工されない状態で供給されるエネルギーで、石油、石炭、原子力天然ガス、水力、地熱、太陽熱など原料たる段階のエネルギーがあり、それを一次エネルギーと言い、その後電力やガス・燃料・熱量に転換されたエネルギーの消費がありこれを最終エネルギー消費という。このエネルギーは化石燃料だけでなく原子力・再生エネを含む。(原料であり製品でもある水素も入るのであろうがゼロでは入れようがないか)。
最終エネルギー消費は基準年2013では363億KLであった。(ちなみに2018年は13,124PJ(原油換算 339 百万 kL) 最終エネルギーは部門別数字が以下のように出されている。
最終エネルギ―消費 2013年 vs        2018年         
産業部門: 168百万kL   (46%)    212百万kl(企業・サービス部門を含む)
企業部門:  59 百万 kL  (16%)    上記
家庭部門: 53 百万 kL   (15%)     47百万kl
運輸部門: 83 百万 kL  (23%)     79百万kl
合計  : 363 百万kL  (100%)      339百万kl
最終エネルギー消費の2030年目標は280 百万klである。 
加工消費前の一次エネルギーで言えば2013年は544Mkl、2030年は430Mklとあり、試みに最終消費の比率は2013年が363/544= 66%、2030年は 280/430=65%と同一レベルであった。
発電部門の製品の電力はその使用部門に割り振りされ、いわば自家消費は転換部門と称するがこれは僅かであり、又送発電ロスもあるが共に最終エネルギーには含めない。(注;石油製品を作る精製部門も転換部門である)
一次エネルギーから最終エネルギーへのフローは数量を10の15乗P(PJか)で表すが概略で表すと一次が19,000、最終が13,000で内3,300が発電 (比率28%)、最大は石油・石炭製品で4,540、輸送燃料3,000、都市ガス1,127、その他工場などとなろうか。19,000と13,000差の殆どが発電ロスで自家消費・送電ロスは400未満と小額である。従い我々がよく目にする電力需要や電源内訳はこの28%の部分を言うものである。
上記最終エネルギー消費の部門別比率は前回示した2013年実績で2030年46%削減の起点となるGHG排出量比率と概ね一致する。
            2013億トン  (%)            2030年億トン (%)
産業        4.6        (37.1%)        2.9    43%
業務        2.4       (19.4%)         1.2    18%
家庭        2.1        (16.9%)     0.7    10%
運輸        2.2     (17.7%)      1.5     22%
転換      1.1      8.9%)      0.6    9%
小計(エネCO2)12.4  (100.0%)   6.8 100% :エネルギ起源CO2目標46%減
非エネCo2     0.8             0.7
メタン          0.3          0.2
1酸化2窒素     0.2          0.2
代替フロン     0.4            0.2
吸収                         -0.5
合計       14.0                 7.6

 
そこで電力に移るとここでは電力の単位が上記エネルギ-消費のPJから億kWhとなるが、ここでも総発電電力と最終電力(需要)がある。2018年で言えば総発電10,505内自家消費588、ロス450w差し引いた最終が9,457である。
この電力需要の部門別内訳を2013年と2030年で示すと下記の通り。
電力需要 2013年対   2030年        
産業    3,646      3,310 kWh
業務    3,239      3,000 kWh
家庭    2,834     2,110 kWh
運輸      177     230 kWh
合計    9,896       8,640 kWh       
総発電量は2030年 9,340 kWhと設定。
この電力需要を電源構成比率を出すと

          2013    2019    2030 kWh    2030 (%)
水素           0%        0         86    1%         
再エネ          11%    18%          3,283    38%       
原子力          1%    6%           1,901    22%       
LNG           43%    37%          1,728    20%       
石炭           30%    32%          1,641    19%      
石油           15%    7%            173     2%          
合計        100%    100%      8,640    100%

そして再エネを細分すると;      3,530       38%
太陽光                1,460    16%
風力                  510    5%
地熱                  110    1%
水力                     990    11%
バイオ                  470    5%
となる。エネルギー最貧国の日本は鉱物性エネルギーの輸入が11兆円、エネルギー自給率を電源の再生エネルギー比率を取って18%と言えるか、発電に使用される一次エネの比率は28%にしか過ぎなく、なかで目標とする電源比率で水素や地熱は1%とお粗末である。お粗末な原因はヨーロッパの資源貧国と比較する時、やはり大胆さの違いを目にする。

 

注;追記4月9日

電力の単位をkWhと言ったが、発電所の発電容量とか設備容量から言うときは瞬時に起こすことが出来る最大電力で通常は(万)kWで表す。
この1年間で供給・消費される電力量は通常億kWhである。 文中すべてに億の記載漏れがある点要注意。
これは、日本の電力需要が2013年 9,897億kWhに対するインドネシアの数字は2,486億kWhである。電力一つ調べるのにMW、Twh、GWe、万kWと色々な数字に気が狂った末の対比できる数字である。

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Germany 2019 vs Japan 2020



クリーン・グリーン・グレー・ブルーな水素の夢

日本のカーボン・ニュートラルの事を学んで見ようと思った最初の頃、カーボーン排出量の元凶は、その半分近くを排出する発電部門であることとその発電量は今10,000億kWhであるが、2050年にもなると更なる人口減、高齢化、省電などで5,000億kWh程度になるとの数字に出会った時、何か間違いかなとか、それなら脱炭素も易しいことだと感じたことだった。そしてその中で100%クリーンな水素発電がある事を知って、運輸部門のEVによる発電増量の問題の話も聞かないので、日本の技術力なら問題なくこの水素やアンモニアの新電源も可能なはずだと運輸部門はEVを通り越してFCVを結論としてしまったが、政府がちゃんと計画しているのかを当たるうちに又戻って考えねばならぬような感じを持っている。
昨日2030年の電源構成計画で、この水素発電が構成比1%しかないことは判ってはいたのであるが、2050年はどうなっているか見ると、まず2020年12月に公表した「グリーン成長戦略」では、2050年の 電源割合を、「参考値」として、 再エネ 5~6割 原発+CCS火力 3~4割 、そして水素・アンモニア 1割 としていたが、最終版からはこの水素の字は消えており、この問題は、可成りな問題を含んでいるよう見受けられた。

因みにと九州電力のゼロへのロードマップででも何か確認できるかなと見て見ると、混焼の文字(水素の利用)とかは見えるが水素・アンモオニアの製造については、水素アンモニアサプライチェーンの構築と共に検討事項となっているだけである。
なぜ小生が九州電力を見たかを説明すると、九電はCN貢献企業評価(WWF)で電力業界トップであるからである。ここでも水素の製造であり、水素による発電とは書いてない。

推理していくと九電が発電すれば、ケーブルで送電供給できるが、製造とだけ書いても、それは例えば液体ガスとしてタンクバルブ車での供給販売で、発電ではないことになる。

化石燃料のエネルギー消費は発電だけでなく航空機・船舶などの燃料・工場の自家発電や熱利用に使われるのであるから、この水素にしろ再生エネルギーの製造は電力会社だけの問題ではなく、全国民であり、全ての企業が、誰でも関わって行くべきものである。

しからば水素やアンモニアの製造の仕組みを簡単に学んで見よう。
水素の元素はH2である通り水H2Oから取り出せるが、その工程が水電解である。この電解の時に電力が必要だがこの電力に太陽光発電等再生エネルギーを使用すれば100%クリーンとなり、これをグリーン水素といっている。化石燃料から水素を取り出すことも出来、この方法は昔からあり、それは化石燃料を燃焼させたガスから水素を取り出す改質法といわれ、メタンガスなどを改質して水素をつくる方法(水蒸気改質法)は確立されているが、大規模化が必要で、脱炭素も完全でないため、グレー水素と言われる。炭素の低い天然ガスを利用したり、発生した炭酸ガスを地中に貯流する場合の水素はブルー水素と言われる範疇となる。

日本は大規模に生産するための装置の製造技術の問題、商業生産に合うコスト低減ができるか、或いは炭酸ガスの貯流する(CCUS)場所の問題があり、結局、外国からの輸入が政府の検討資料に現れていて、今後文字だけで安心することなく見守って行かねばならないと心を引き締めた。
自動車のFCVはこうして作られた水素を蓄電したのが燃料電池(e-fuel)であり、ガソリンと同じように消費すれば水素ステーションで水素を補充することになる。自動車業界の水素へのチャレンジを期待したい。
水素は又Co2 と合成して製造する合成燃料の道もあり、航空機など高度な燃料にも利用できるが、このようにCO2を資源として利用する「カーボンリサイクル」は将に夢となる。
又、アンモニアはその分子式は「NH3」で、水素と窒素で構成されて、大量輸送が難しい水素を、輸送技術の確立しているアンモニアのかたちに変換して輸送するキャリアーの役目や、石炭火力発電に混ぜて燃やす(混焼)ことでも、CO2の排出量を抑えたり、将来的には、アンモニアだけで発電する技術開発が進められているそうだ。簡単ではなさそうだが侍ジャパンを信じていいのか。ミレニアム・Z世代同士の戦いになる。

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脱炭素で脱せトラップ、国力アップ

このブログでカーボンニュートラル・シリーズは9本も書いてやっと発電部門になったが、ここも個別の発電技術や新エネルギーに行く前にまず総発電量からいかねばならない。世界ランクの統計などはラフすぎるが、一つには日本の総発電量は世界2位の1兆257億kWhと言うのとあと一つ世界5位の9,362億kWhがある。後者はCIA 版らしいが此方の方が最もらしいので関心のある他の国の数字も挙げて置く。

1    中国(2013年):5,398,000,000,000kWh
2    アメリカ(2011年):4,099,000,000,000kWh
3    EU(2011年):3,255,000,000,000kWh
4    ロシア(2013年):1,057,000,000,000kWh
5    日本(2012年):936,200,000,000kWh
10    ドイツ(2012年):526,600,000,000kWh
11    韓国(2011年):485,100,000,000kWh
23    インドネシア(2011年):173,800,000,000kWh
次に日本の電源構成比の現在(2019年)と2030年の比較に発電量と部門別の需要予測などを見ることとする
  電源構成 2019 2030      2030増減

水素       0%    1%         +1%
再エネ      18%    38%        +20%
原子力      6%    22%        +16%
LNG       37%    20%        -17%
石炭       32%    19%        -13%
石油       7%    2%          -5%

 

発電量     10,240    9,340        
需要量   9,896    8,640       -13%
産業       3,646    3,310        -9%
業務       3,239    3,000        -7%
家庭       2,834    2,110        -25%
運輸        177    230        +30%

*日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、上記データソースでは4%程度で、世界ランキングの順位は25位、1位はデンマーク48%だった。国土が小さくとも伸ばせるはずだ。
38%の内訳は太陽光16%、風力5%、地熱1%、水力11%、バイオ5%である。素人感想では風力は太陽光に比べ小さい。どちらも面積を擁するので洋上が本命であろうが、何故その面積を太陽光と風力の同時利用はできないのだろうか。
地熱はインドネシアも火山国であるので、よく住友が地熱発電事業をインドネシアでやっているが、昔、日本ではなぜできないのだろうかと不審に思ったことがある。 いずれ調べよう。
原発は東日本大地震前は54基稼働し30%を占めていたが現在は9基らしい。ウクライナで思うところありある程度の原発は必要だ。 ロシアに対する制裁でロシアの分を輸入ストップし原子力に振り替え、とりあえずは30%キープすべしだ。
*運輸は先の原稿の通り、本命は水素自動車であるが電気自動車も認める期間(特に2030年迄)は電源需要が伸びるはずである。上記で運輸部門だけ確かに需要が伸びている。トヨタのトップも以前すべてがEVに変わるとすると今の発電量の15%程度(つまりは9,896x15%=1,480億kWhか)増える見込みで、これは火力発電で20基とか言ったが、だから一肌抜ごうと言う気があったのかな。そして上記の運輸の増加はほんの53億kWh である。
*上記政府のプランの需要見込みは現在の9,396kWhが8,640kWhと下がるのは一番は省エネであるはずだがむしろ人口減やGDP減の事がリファーされているのが目に付く。2050年までに人口が126百万人が101.9百万人になるのでこの発電量はその人口減19%に連動するのか粗鋼生産、エチレン生産も15%前後減ることがベースになっている。
*発電量予測は国内の需要予測であるが、国内と言えど(製品)輸出の為の生産もあるはずである。或いは嘗ての重厚長大産業復権と国土再生、新産業とか未知数の前向き発電需要があるはずであるが政府のプランにはこれらを見ることはない。

*ここ迄でも全体から個別へのアプローチでも一矢乱れぬ整合性で対策が積み上げられていることは確認できた。最新技術の国際貢献や主体間連携、或いはカーボンクレジット・オフセットの仕組みが有効に機能していくことも期待できる。

こんな大きな発電用タービン?など未だ日本はジャンジャン作るはずだ

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